約 4,798,924 件
https://w.atwiki.jp/vip_witches/pages/2791.html
1942年 北アフリカのトブルクは一面砂漠の不毛の地であった。 昼には気温50℃を超え日差しが容赦なく照りつけ、夜になれば昼間とは対照的に氷点下まで冷え込む。 人類が住むにはとても厳しい環境のここは人類連合軍アフリカ軍団の拠点であった。 人類の希望、アフリカの星ことハンナ・ユスティーナ・マルセイユ中尉をはじめとするウィッチたちもこの場所に部隊を編成している。 加東「朝から暑いわね……。というか昨日もマルセイユに付き合わされたから少し頭が痛い……」 大き目の天幕から姿を現した女性は加東圭子。扶桑皇国陸軍の大尉である。ついこの間まで元ウィッチで扶桑皇国の従軍記者として活動していた彼女だが、再びウィッチとして任官された。 マルセイユに面倒事を押し付けられた形であるが、統合戦闘団「アフリカ」の司令官である。 加東「ん、あれは何かしら……?」 彼女の視線の先には紺色の固まりのようなものがあった。しかし数十メートル離れた先にあるのでそれが何なのかは見当がつかなかった。 加東「とりあえず行ってみましょう」トテトテ 俺「………………」 加東「な、なにこれ……!?」 加東は絶句せざるを得なかった。目の前で黒い肩掛けのバッグを持った15,6程に見える少年が“頭や胸から血を流して”横たわっていたのだから。 加東「呼吸をしてない……。でも脈はあるし。衛生兵!」 衛生兵を呼んだ後、加東は倒れていた少年に衛生兵が来るまで人工呼吸を施すことにした。……所謂マウストゥーマウスだがそれを気にしてられない、一刻を争う状況であった。 気道を確保してしばらくの間人工呼吸と胸骨圧迫を繰り返す。 俺「……げふっ! ごほ!……う、うぅん……」 加東の人工呼吸が功を奏したか、俺は呼吸をし始めた。しかしまだぐったりとしていて油断ならない状況でもあった。 加東「……良かった! 呼吸は戻ったみたい。……あとは専門家に任せないと」 衛生兵1「加東大尉! お呼びですか!?」 慌てた様子で加東の元に衛生兵たち数人が担架を持って駆け寄ってくる。砂の上でぐったりと横たわる俺を見て状況を察したのか、担架に俺を乗せた。 衛生兵2「とりあえずこの少年のことは我々にお任せください!」 加東「ええ、お願いするわね。彼の鞄は私が持っておくわ」 加東がそう言うと衛生兵たちは医療用の天幕まで一目散に駆けて行った。 彼女は衛生兵たちの姿が見えなくなるまで見送ってから司令官の山積した仕事をするべく自分の天幕に戻る。 加東「……って! よく考えてみればあれ、ファーストキスじゃない! でも。人工呼吸ならきっとノーカウント! きっとそう!」 そう自分に言い聞かせたものの、加東はしばらく俺の顔と唇の感触が頭から離れず仕事が手に着かなかった。 医療用の天幕 俺「すぅ……すぅ……」 俺は4時間も経てば俺は衛生兵たちの尽力もあってか、安らかな表情で規則正しく寝息を立てていた。 これがさっきまで命の危うい状況だったというのだから驚きだ。しかし頭に巻かれた包帯などは確かに彼の重症さを物語っている。 と、天幕に誰かが入って来た。 加東「彼の容態はどう?」 稲垣「し、失礼します」 やはりというか、俺を真っ先に見つけて救助した加東であった。その後ろには12歳の扶桑陸軍ウィッチ、稲垣真美軍曹がちょこちょことついている。 140cmにも満たない小柄な体だからか、彼女より20cm以上身長が高い加東の後ろに完全に隠れてしまっていた。 衛生兵1「あ、加東大尉、お疲れ様です。少年は大分良くなりましたよ。元々かなり頑丈にできているのかもしれませんね。こんなに回復の早い患者は初めてですよ」 加東「そう……怪我はどんな感じだったの?」 衛生兵1「肋骨や腕の骨が骨折、頭部からも出血していましたし、他にも結構きつい打撲をしていましたね。正直こんな安らかに眠れるはずない怪我ばかりでした」 加東「正直固有魔法でもあるのかと思うくらい早い回復ね……」 しかし加東はその仮説をすぐに否定した。男のウィッチというのは世界で数少ない上に自身もあまり聞いたことが無いからだ。 俺「う、うぅん……」 稲垣「ケイさん、患者さんが目を覚ましますよ」 先程から興味津々に俺を見ていた稲垣の言葉で加東と衛生兵が会話を止めて彼の方を注視する。 俺「……知らない天井だ……」 加東「目が覚めた?」 俺は反射的にはいと返事するものの、声の主の方を見て絶句した。 白い着物に緋色の袴、まるで巫女さんのような扶桑陸軍の正装を着こなした猫っ毛の女性。 俺「(なんでヒガシさんが居るんだ? コスプレにしたってあまりにもそっくり……夢でも見てるのかな)」 加東「良かった。本当に吃驚したわよ。砂漠の上に血を流して横たわっているんだから」 衛生兵1「君は肋骨や腕を骨折して打撲気味のようだね」 加東に言われ自分の格好を見た。元々着ていた制服から着替えさせられていたのであろう。 また、衛生兵に言われて体を見ると骨折していると教えられた部分からは多少の痛みのようなものを感じるが、事故の直後に感じた激痛とは比べ物にならないほど軽い。 打撲していると言われたものの体の節々から少しだるさを感じる程度だ。 俺「……? 特に骨折や打撲をしたような痛みは感じませんよ……?」 加東、稲垣、衛生兵1「え」 あの後、衛生兵が俺の怪我をしていた幾つかの部分に確かめるように触れたものの、 俺「特別痛みの酷い部分はないです」 俺はこの一点張りだった。 加東「と、とりあえず、大丈夫に越したことはないわね。色々と聞きたいことがあるから、ちょっと私の天幕まで来てくれる? ええと……」 俺「わかりました。あ、俺は俺です。お好きに呼んでください(つか一体どうなってるんだろう……?)」 一覧に戻る 3月25日投下
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/49796.html
【検索用 すてらのさ 登録タグ CeVIO す 星界 曲 牛肉 雄之助】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:牛肉 作曲:雄之助 編曲:雄之助 唄:星界 曲紹介 曲名:『ステラの座』(すてらのざ) CeVIO AI 音楽的同位体 星界(SEKAI) デモソング。 Vocal Tuning:攻 illustarion:幽霊 Movie:TAIHAN 歌詞 (piaproより転載) 清しこの夜の感情 溢れ出す期待は 遍く全ての空想 月の縁を擦れば カルキの抜けた水辺に 映る過去も虚ろに駆け出して ただ幼く慰めるのさ 静か遥かの丘で幾万年 沈む時間の曲線上 死に行く月日の七拍子 不条理な光景を 普通だと叫ぶだけ 生まれて悔やんだ神様も 踏まれてすぐさま安らかに 瞬く私は 誰もいない空へと 徒然の言葉を 飽きるほどに打ち上げて 輝く歌を吐き 自分が何者かを 探して最後は 毒を食べて眠りに就く 昔懐かしの山道 樫の木に結んだ 仲良しこよしの妄想 首を絞めた末路は ザクロを食べた御伽の 罪も座して積まれて皿の上 ただ苦肉を晒すばかりと 雷に焦がされた朴念仁 如何な慈愛も極少数 射貫いた弓矢は横一線 無理強いの難題に 学びなどないのに 瞬く私は 雲の街を歩いて 徒然の涙へ 伝える場を見出して 行き着く音楽が 宇宙に塗炭を張り 転じて彼方の 甘い陶酔は無くなって 去って曇った 想い患って腐った 注いで悲しむ水瓶も 砕いて祈れば安らかに 瞬く私は 星に憧れる度 徒然の名前を 工夫もなく馴染ませて 奏でる無秩序な 理想を羅列させて 知ってる癖にさ 叶うよと嘘に溺れ 剥がす鱗の乱反射 身を任せては光るだけなのに 絡めた糸で釣り上けた さあ私をどうしたいのかな? 君は コメント 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/teikokuss/pages/1328.html
黒騎士のルキアニスふたたび (3) アイデシアは弦を引き絞り、同時にその矢尻の先に魔力の青い輝きが宿る。 きん、と堅い氷の弾きあう音を伴って、氷の術が矢尻の先に開く。六方に枝のような氷肢を開く。日差しの中に美しく輝く、純粋に氷で出来た正六方の姿だ。 その向ける先に、模擬標的が近づいている。それもまた、氷の術で作られている。そちらは人の背の五倍はある大きな、太い氷の柱で、地に触れるか触れぬかあたりを浮かび、そしてじわじわとこちらへ進んでくる。機装甲戦列で言えば、前進歩行速ほどだ。 そうやって模擬標的を操る方が、迎え撃つよりはるかに高度な魔術になる。バジリシア騎士隊長が、クルル=カリルを通じて操っている。ルキアニスは模擬標的の動作について、まったく要請を出していない。すべてバジリシア騎士隊長に任せてある。ただし基準だけは示してある。強度は重駆逐機を完全に模する必要はないが、可能な限り高い強度を持つこと。その破壊をもって展示の終了となる。行動については重駆逐機に行える範囲内ならば自由に、跳躍を含めて行ってほしい。ただし攻撃は模擬標的本体から三十呎ほどに限ってもらっている。近接戦闘を想定しているからだ。戦闘そのものまでは模擬しない。模擬標的から攻撃が直撃したばあい、対象機は無条件に撃破されたものとして扱う。 模擬標的は正面からじりじりと近づいてくる。焦る必要はない。それはアイデシアもわかっているはずだ。ルキアニスも指揮を執るつもりは無かった。それはアイデシアにもニコラにも伝えてある。この展示演習の目的は、ヴェストラ宿将格と真っ向打合う程の力が無い今でも、先んじて痛打を与えうることの証明なのだから。 ゆっくり進み来る氷柱の模擬標的はアイデシア機から百呎ほど離れたところで、足を止めるように止まる。対峙のまま、射かけさせようというように。だが、アイデシアは射ない。近い間合いの弓術は、あるところ鑓術に似ている。だが薙げないし、繰り延べた鑓を手元に退けない。一突き限りに魔力を賭ける。 氷柱が不意に動いた。大きく横に滑って動く。それまでの思わせぶりなゆっくりした動きではなく、黒の二が地を蹴った横跳びのように素早く、強く。 「!」 青い光を氷柱は氷を放つ。魔力だ。 まだ遠い。それは近接攻撃の模擬行動のはずだ。だがそれが打ち薙いだのは、遠いアイデシアではない。地面の方だ。 砂塵が吹き上がる。氷柱を覆い隠すほど高く、広く。 「・・・・・・」 一拍か、それとも二拍か、妙な間が開く。氷柱は見えない。砂塵に隠れて期をうかがっている。弓射は放てばあとが無いことを知っているからだ。アイデシアは待つほうを選んだ。 近場でも中る自信があれば、狼狽することなどない。 砂塵が風に薙がれ、低くなってゆく。 それが割れる。氷柱が飛び出す。砂塵の名残が渦を巻く。勝った。アイデシアは矢を放つ。 正六方の氷陣が追うように飛んで、自らを叩きつけてゆく。氷柱からほとばしる光を丸ごと押しつぶすように。 氷塊が飛び散り、砂埃がさらに激しく吹き上がる。氷柱の姿は見えない。 「ニコラも準備」 『了解』 ルキアニスは命じる。アイデシアに連射させても構わない。実際、アイデシアは斜め後ろに跳び退き、二の矢を番えつつある。見やるその先で砂埃が風に流されてゆく。 氷柱が現れてくる。地に斜めに刺さって、半ばから上は大きく欠けて失われている。元の形を保っていなかった。氷に氷、同じ属性の攻撃であっても、もちろん打撃は受ける。今の攻撃ならば、氷による防護を程していても、無傷ではいられない。 『撃ちます』 その氷柱へ向けて、ニコラは弓を構える。番えられている矢は、矢と言うにはあまりに太く、あまりに長く、大きい。それはもはや矢とは言えない。投槍と言って良かった。弓を一杯に引き絞っても、槍のような矢の半から先は弓の前に飛び出している。 槍の穂先のようなその先で、気が渦を巻く。矢尻を囲う輪のような気の渦は、やがて白く角のように伸びる。槍矢の先を導くように長く。 ニコラは槍矢を放った。弓の力によってのみならず、白い気の渦に吸い込まれ、その中を滑るように飛び出してゆく。その気の渦を纏ったまま、ごく短く飛びぬけて、かしいだ氷柱に突き刺さり、貫く。槍矢とその纏う気の渦に貫かれて、弾けた。砂埃が吹き上がり、それを追い越すように氷の欠片が大きく撒き散らされる。 ニコラが今日のために、手持ちの術を組み合わせて作り上げた術だ。間に合わせなどでは決してない。知っている術の組み合わせで、これまでに行えなかったことを行おうとしている。知っているということ、そこから力なのだから。 ルキアニスは少し待つ。バジリシア騎士隊長が氷柱を再生して再攻撃すべき、あるいは可能だとするなら、氷柱は再生され、ふたたび攻撃を開始してくる。それくらいはやってもらっても構わないと、ルキアニスは考えていた。これは射的を見せる展示演習ではない。 砂埃が流れてゆく。先のように氷柱が姿を見せることはなかった。砕かれた氷塊が撒き散らされ広がっている。柱と言えるほどのものはどこにも残っていない。 「標的操作担当へ。標的は破壊と見なしてよろしいか」 『標的は破壊された。以上』 「了解しました。第一想定を終了します。これより第二想定を開始。第二標的、お願いします」 『了解。発動』 バジリシア騎士隊長には、より狡猾にやってもらえるくらいでいい。アイデシアが、高い力を持っているのはもうわかっている。皆もわかっている。アイデシアがどんな風に判断し、どんな風に対処したとしても、アイデシアの自力と見られる。それで当然だけれど、ここで本当に見せるべきはニコラの力だ。 模擬標的は同じく氷柱だ。今度は早い。歩行速度ではない。走行速度だ。疾走までは行かない。その速さを保ったまま、側面へと回り込もう良してくる。 「ニコラ、隊列を統制せよ」 『了解。本機が前衛につく。二機は傘隊形位置、弓射準備。本機に追従、支援せよ』 そして彼は命じる。 『前進』 脚を止めて射掛け合いをすることなどない。実のところ、術を練る間合いが得られるなら、弓射にすらこだわることはない。 氷柱は、回り込むことを止めた。意味が無いからだ。この設想では、味方領域や、味方側で守らねばならないことについては決めていない。模擬標的氷柱を正面に捉えなおせば、あとは対峙になる。戦術判断はまだ展示の対象ではない。 氷柱は動きを止めたわけではない。走行の速さのまま、右へ、左へ、跳ねるように切り返す。 だがニコラは冷静だ。あの手槍にも等しい矢を番え、的を待つ。誘って射かけさせる手など通じない。多対一が許されるなら、本務射手の弓射を援護するよう、支援射手が敵を拘束する。けれどこの展示演習の目的は、近接攻撃を積極的に行ってくるだろう敵に対して、単独でこれまで以上の攻撃力を発揮することを示すことだ。 そして、標的氷柱側にも行えることは限られている。迂回が封じられ、誘いも通じなければ、退くか、それとも進むか。 氷柱は動いた。日差しをきらめかせ、素早く。疾走の速さ、けれど真正面から。あれを射損じる事などありえない。 誘いだ。ニコラは、弓を引き絞る。魔力が大きく膨らむ。それは槍矢の篦を囲うように巡る輪の風となる。それは強まり、輪から横倒しの渦になって伸びる。その渦が迫りくる氷柱標的を示す。 氷柱標的は魔力を放った。先にアイデアシアに相対した時と同じように、地を打って砂塵を舞い上げる。だがニコラはアイデシアのように待たない。向けた風の渦が伸びる。巻き込まれた風が砂塵を払う。氷柱が露わになる。 その氷柱は、飛んだ。振り払われた砂塵を見降ろすように高く。だとしてもあれを外すことなどありえない。ニコラは弓矢を指し上げる。風の渦が鞭のように氷柱を打ち、捉える。 ニコラは槍矢を放つ。風の渦に吸い込まれ、吸いだされるように氷柱を貫く。 割れた。宙のままで、見事なほどに二つに。そして割れた一方が、まるで狙い澄ましているように、ニコラへ向けて飛び込んでゆく。 「!」 ルキアニスは矢を放った。あの程度なら、決して外さない。 「!」 半拍も遅れず、もう一本の矢が氷塊に突き立つ。二本目の矢を受けて、氷塊は砕け散った。アイデシアの矢だ。アイデシアが射るなら、ルキアニスは待てば良かった。ルキアニスが援護するのは、展示の上ではあまりよくない。 右手を弓手とするニコラは、弓を捨てねば剣を抜けない。あまり近づかれると咄嗟の動きに弱い。ニコラは弓を捨てた。氷塊の残りの半分は、地に落ちて跳ねる。もう射ることなど考えなくていい。最後の槍矢を肩越しに抜き出して構える。あれが雷撃をを帯びられれば、ニコラの力は何段も増すのだけれど、いまはまだそこまでは行きつけていない。 「標的操作担当へ。標的は破壊と見なしてよろしいか」 『標的は破壊された。第三標的を発動するか』 「演習指揮官より標的捜査担当へ。必要無し。演習を終了する。ありがとうございます。お疲れ様でした」 『了解。以上』 「演習指揮官より全部署へ、演習を終了する」 ルキアニスは宣言し、息をついた。悪くはなかっただろう。 短い時で、これまでよりも、高い力を振えたのだから。演習の講評は、まあまあで、ルキアニスをほっとさせた。 問題は、展示の後日に行われた訓練検討会議のほうで、そちらの評価は散々だった。ルキアニスは、困るより先に困惑して、訓練検討会議での指摘事項に上手く応えきれないくらいに。 つまりところ、あの程度では抜本的な強化でもなく、普遍的な物でもない。同門による故事と変わらないではないか、と。 そんな言いようを、今にされても、とは思うのだけれど、ルキアニスには言い返すこともうまくできなかった。
https://w.atwiki.jp/lanobe/pages/15.html
プシュケの涙 作者 柴村仁 イラストレーター 也 レーベル 電撃文庫・メディアワークス文庫 「こうして言葉にしてみると……すごく陳腐だ。笑っていいよ」 「笑わないよ。笑っていいことじゃないだろう」 あなたがそう言ってくれたから、私はここにいる――あなたのそばは、呼吸がしやすい。ここにいれば、私は安らかだった。だから私は、あなたのために絵を描こう。 夏休み、一人の少女が校舎の四階から飛び降り自殺した。そのわけを探る二人の少年。一人は、全てがうまくいかず鬱々としてる受験生。もう一人は、何を考えているかよく分からない“変人”。そんな二人が導き出した真実は……。 柴村仁による青春小説。ミステリ調の前半+恋愛小説調の2部構成になっており、見開きイラストで区切られている。 ファンタジー要素はなく、一般文芸作品に近い。 「自殺」をテーマに取り扱っており、陰鬱とした雰囲気を与えるが、透明感のある文章で丹念に綴られている。 それゆえ女性や一般文芸読者にはとっつきやすいが、ともすれば『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』並みの鬱小説になりかねないので、そういうのが嫌いな人は避けたほうがいい。 シリーズはメディアワークス文庫に移籍し、『ハイドラの告白』・『セイジャの式日』の三部作となった。(世界観の繋がった番外編として『おーい、キソ会長!』がある)
https://w.atwiki.jp/imasss/pages/80.html
P「またアイドル達の乳首の色が気になって眠れない」 執筆開始日時 2012/07/09 元スレURL http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1341844601/ 概要 P「前回は春香、響、美希と失敗してしまったが今日は違う!」 P「このとめどない想いを!彼女たちの決して晒されぬ桃源郷を!」 P「この目に焼き付けるまでは諦めるわけにはいかない!」 P「そろそろ限界だ……早速 5に仕掛けるとしよう」 タグ ^三浦あずさ ^双海真美 まとめサイト 森きのこ!
https://w.atwiki.jp/fadv/pages/2113.html
地下道の少女 題名:地下道の少女 原題:Frlickan Under Gaten (2007) 著者:アンデシュ・ルースルンド&ステファン・トゥンベリ Anders Roslund Börge HellstStröm 訳者:ヘレンハルメ美穂 発行:ハヤカワ文庫HM 2019.2.25 初版 価格:¥1,160 現実に即して書こうと意図した作品には、すっきりした終わりはない。小説題材となる現実を、普遍的な形として世界の記憶に留めようと意図する作家は、読者が求める単純化に応えることは容易にはできない。何故なら現実が抱える問題は、今もなお解決を見ることなく、ずっとそこにあり続けるものであるからだ。だからこそ、この種の作品はどこかで必要とされ、そして誰かに読まれる時を待つ。 これは子供たちの物語だ。家族に捨てられたり、家族から逃げ出したり。ストリート・チルドレン。北欧では冬を越すためにシェルターや施設に逃げ込む者、連れ戻される者もいる。しかし帰りたくない、逃げ続けたい子供たちの一部は、何と地下道に居住している。地下道で火をおこし暖を取り、暗闇の中で何年も生きる子供たちと、共存する初老の世捨人たち。福祉国家として名を馳せるスウェーデン。そんな国でも公営機関はその種の人々の存在を認めようとせず、見た目の数字だけを誇りに虚像の上に座り込んでいる。 どこかの国と同じだ。日常的に虐待を受けている少女が、学校や児童相談所に自らの危険を顧みず訴えたにも関わらず、最も危険な家族のもとへ帰されてしまった今年初頭の事件。他人事でしかない問題を、書類という形で右から左へ送るしか能のない公職という実態。逃げ出すべき地下道を見出すことなく、父親に殺されてしまった少女。まだまだ発見されぬこの手の事件がこの国にはもうないと誰に言えよう。日本にも家庭から追い出されたり逃げ出したりしてストリート・チルドレンとなった子供たちが皆無だと誰に言えよう。日本の都市の地下道にも少女たちが隠れ住んでいないと誰い言えよう。 そうした事件の一方で、ルーマニアから来たバスがストックホルムの街で、ある冬の朝、43人の薬物中毒の子供たちを放り出した。これも真実の出来事。作家はこれに脚色を施し物語の一方に加える。 シリーズならではの三人の刑事の書き分けも見事だ。60歳を間近にしたエーヴェルト・グレーンス。頑固者を通り越し、もはや偏執狂のサイコパスの領域にありそうなヴェテラン刑事。アンニの病状の変化にぐらつく中でめった刺しにされた女性の殺人事件を追う。妻と息子との生活と刑事としての職務の間のバランスを取り切れていないかに見えるデリカシー溢れる刑事スヴェン・スンドクヴィストは本書ではその人間味をひときわ光らせてみせる。さらに新米捜査官なのにエーヴェルトのお眼鏡にかなった有能な女性刑事マリアナ・ヘルマンソンはルーマニア移民の子として、街頭に捨てられたルーマニア孤児43人の事件を独りで追う。 二つの事件で、親に捨てられ、薬漬けにされ、精神や肉体を侵された子供たちが多く登場したり、刑事たちがそれを目撃したりする。多くの悲劇が背景にあるのにそれに眼を背ける国の中で、小説が何をできるのかを証明しつつ、絶妙のストーリーテリングで現在と三日前からの過去を往還しつつ、読み始めたら止まらないスピード感と面白さ。今に始まったことではないが、ラストシーンでの驚愕のどんでん返し。暗い題材に眼を向けながらも、飽くまでエンターテインメントとしての王道を行く、本シリーズの価値、健在なり! 付記:同様の恐怖を感じさせられた作品として、香納諒一作品『絵里奈の消滅』を紹介しておきたい。ある少女の生死自体が社会に痕跡を残さないという事件を題材にしており、ハードボイルド・エンターテインメントとしても秀逸である。 蛇足:本書で設定されている現在は偶然ぼくの誕生日の一日である(1月9日)。勝手ながら個人的な運命を感じた次第。最近、ぼくは運命というものを心の片隅で感じ始めているように思います。 (2019.03.02)
https://w.atwiki.jp/kolia/pages/605.html
自民党の過去と現在、そして未来 「後世歴史家が振り返る時に、古い自民党と小泉改革以来の新しい自民党との再試合だったとそう記述するに違いないと存じます。」 麻生太郎(2007年 自民党総裁選にて) http //www.nicovideo.jp/watch/sm6366124【神演説】麻生太郎、自民党総裁選所見演説【2007】 (コメントを非表示にする場合は右下のヒヨコマークをクリック) <目次> ■1.各政党・マスコミの政治的スタンス ■2.政界見取り図(自民党中心:1970年代~現在迄) ■3.解説:自民党の歴史(1) 冷戦下の出発(保守合同~安保改訂)(1955.11~60.6) (2) 高度経済成長路線(池田・佐藤政権下の長期安定)(1960.6~72.7) (3) 安定成長と金権腐敗(角福戦争~田中・竹下派(経世会)支配)(1972.7~93.6) (4) 分裂・下野・迷走(河野執行部~村山連立政権)(1993.6~95.12) (5) 橋本派(経世会)支配の復活(橋本・小渕・森政権)(1996.1~2001.4) (6) 小泉改革から野党転落まで(保守再生への期待と不安)(2001.4~) ■4.「古い自民党」と「新しい自民党」 ■5.国民が支持すべきは「新しい自民党」 ■6.質問&回答(1)「自民党も民主党も政策はほとんど同じだ。同じなら一度民主党に任せてみるべき」 (2)「公明党を切らない限り、麻生自民党は支持できない」 (3)「村山談話を破棄しない限り、麻生自民党は支持できない」 (4)「売国的な小泉改革を完全否定しない限り、麻生自民党は支持できない」 (5)「私は小泉改革の支持者だ。小泉改革に否定的な麻生政権は支持できない」 ■7.自民党と保守の現状(西部邁)西部邁氏による「保守」の定義 ■8.参考ページ:自民党の歴史 ■9.自民党は反日マスコミの助けを借りてできた民主党の無能を予見していた ■愛国者の生の声を自民党にどしどし送ってください ■ブログランキング応援クリック ■1.各政党・マスコミの政治的スタンス ◆政治的スタンス五分類(内枠) 進歩重視 伝統重視 親・全体主義(閉ざされた社会) I 左翼(共産主義、社会主義、リベラル左派) ⇔親和性高い⇔(左/右しばしば転向) V 右翼(国民社会主義※1、ナショナリズム) 反・白人/反・英米的親アジア傾向、独裁制 ‡非常に対立的 II 中間(便宜主義) ‡反・左翼で一致だが潜在的には対立 モボクラシー(衆愚制) 親・自由主義(開かれた社会) III 真正リベラル(本来のリベラル=リベラル右派) ⇔親和性高い⇔(伝統に根ざした自由) IV 真正保守(伝統保守) 親・文明/親・英米的デモクラシー(民主制) ※サイズが合わない場合はこちら をクリック ◆政治的スタンス八分類 (外枠) ※極右と極左は隣接 「ナチスとコチスは兄弟」 Political Stance Ultra-Left Left-Winger Liberal Centrist Neo-Liberal Conservative Right-Winger Ultra-Right 政治的立ち位置 極左(急進・過激派) 左翼(革新) リベラル左派(中道左派・進歩派) 中間(オポチュニズム) リベラル右派(新自由主義) 保守(伝統保守) 右翼(ナショナリズム) 極右(急進・過激派) 政治制度 一党独裁(全体主義) 指導政党制(準全体主義) 選択的多党制・政権交代を前提(純度の高い議会制デモクラシー = 自由民主制 liberal democracy)※2 指導政党制(準全体主義・権威主義) 一党独裁(全体主義) 革命(Revolution)断行 革命・クーデターによる政体変更を否認 維新(Restoration)断行 クーデター断行 経済制度 共産主義 社会主義 資本主義 国民社会主義※1 経済政策 国家管理 高負担・高福祉 やや高負担・高福祉 功利主義・無定見 最小限の介入 中負担・中福祉 高負担・高福祉 国家管理 外交政策 親大陸(反英米) 親英米(反大陸) 反英米・反大陸 日本の事例 社民党(旧社会党) 自民党 日本共産党 民進党 維新政党新風 生活の党 公明党 おおさか維新の会 日本のこころを大切にする党 海外の事例 米・露 ソ連共産党(現:ロシア共産党) 民主党(米) 共和党(米) 統一ロシア(プーチンの与党) 自由民主党(露) 英国 労働党(英) 自由民主党(英) 保守党(英) ドイツ 左翼党(旧東独社会主義統一党) 社会民主党(独) 自由民主党(独) キリスト教民主同盟・社会同盟(独) ドイツのための選択肢 ナチス党(消滅) 中・台 中国共産党(支) 民主進歩党(台) 中国国民党(華・台) 国内メディアの立ち位置 赤旗(共産党支持) 朝日・毎日・中日・NHK(民主・社民支持) 読売・日経(大連立・中道志向) 産経(自民支持) チャンネル桜(保守派支持) ※読売は「保守」ではなく「便宜主義」※産経も「保守」ではなく「中道右派」 ※政治現象を読み解くために…上の図は頭に入れて置こう⇒上図の詳しい説明は 政治の基礎知識 参照 ※意見はこちらへ⇒ 政治的スタンス分析 ※1:国民社会主義 … 「国民」を神聖視した戦後はナチスと結びついた national socialism を「国家社会主義」とワザと誤訳してきたが、戦前の刊行物は「国民社会主義」と正しく訳しており最近の高校教科書の記述も語義どおり正しく翻訳するようになってきた(例:2006年検定合格の山川世界史教科書:「国民(国家)社会主義」と表記)。 ※2:自由民主制 … 「国民」を神聖視したのと同様に「デモクラシー」を「民主主義」とワザと誤訳して神聖視した戦後は liberal democracy をも「自由民主主義」とワザと誤訳してきた。⇒詳しくは デモクラシーの真実 参照。しかし厳密に学問的な政治学の著作は democracy を「民主主義」ではなく、ちゃんと「民主制」「民主政体」「民主政治」「衆民制」などと表記している。 ■2.政界見取り図(自民党中心:1970年代~現在迄) 画像の文字が読みづらい場合は、高解像版 をご参照下さい。 ■3.解説:自民党の歴史 (1) 冷戦下の出発(保守合同~安保改訂)(1955.11~60.6) 米ソ冷戦の渦中にあって、左右社会党合同による革新勢力伸張に危機感を覚えた財界の強い要請により、自由党・日本民主党の保守2党の対等合併により発足。 保守政党としての本分を貫いていた時期である(第3代総裁:岸信介総理の強いイニシアチブにより日米安保条約を改訂)。 (2) 高度経済成長路線(池田・佐藤政権下の長期安定)(1960.6~72.7) 安保改訂の混乱後に発足した池田政権は、左右の政治闘争で国力を消耗する代わりに、先ず経済成長に邁進する方針を表明。 池田~佐藤両政権下で日本は年平均10%を超える経済成長を実現、世界第二の経済大国に躍り出る。 その一方、政治的には、自民党は野党の社会福祉政策を弾力的に取り入れ、保守政党から次第に中道政党へと変貌。 (3) 安定成長と金権腐敗(角福戦争~田中・竹下派(経世会)支配)(1972.7~93.6) 佐藤後継を争った「角」(田中角栄)・「福」(福田赳夫)が激突し、圧倒的な集金力を誇る田中が多数派を形成して勝利した結果、自民党は長期の「田中派支配」、田中が病に倒れた後は、竹下登・金丸信による「竹下派(経世会)支配)」の時代となる。 田中角栄はロッキード事件で、金丸信は東京佐川急便事件で、それぞれ有罪。竹下登もリクルート事件で退陣に追い込まれている(なお、田中角栄・金丸信は共に小沢一郎の師匠および後見人と呼ばれた人物である)。 経済的には、ドルショック(為替自由化)と石油ショックにより、経済成長率が5%前後に低下したものの、日本経済はなお安定成長を持続していた時期である。 政治的には、政策本位・国益重視から、年を追う毎に利権本位の「土建屋政治」「金権政治」「(利権絡みの)媚中外交」に変質し、自民党は中道政党というよりも便宜主義(オポチュニズム:ご都合主義)政党に成り果ててしまった。 田中角栄は日中国交正常化を実現(この過程で中国利権を確保)。 金丸信は社会党と組んで北朝鮮を訪問し日朝国交樹立を企てたが、こちらは(おそらくアメリカの横槍で)失敗。その過程で金丸は北朝鮮産とされる無刻印の金延棒を入手している。 なお、田中・竹下・金丸らは、伯仲した国会運営を円滑化する名目で社会党・公明党・民社党と裏で密接な関係を構築しており、それが後の自民党分裂・下野~野党結集の動きに繋がっていった。 (4) 分裂・下野・迷走(河野執行部~村山連立政権)(1993.6~95.12) 1992年に経世会会長:金丸信が東京佐川急便事件で逮捕・起訴され失脚。経世会次期会長の座を巡って、小沢一郎を中心とする金丸系議員と竹下系議員が激突し、長く自民党最大派閥であった竹下派(経世会)が真っ二つに分裂。 翌93年6月、野党が政治改革法案(中選挙区制度を小選挙区制度に変える法案)に関して宮沢内閣不信任決議案を提出したタイミングを狙って、小沢一郎は自派を率いて自民党を離党。宮沢内閣は不信任となり衆議院を解散。自民党は総選挙で過半数を確保できず、38年ぶりに下野。小沢一郎の主導の下、自民党・共産党以外の7党1会派が結集した細川連立政権が誕生(この過程で、テレビ朝日による自民党敗北への世論誘導「椿事件」が発生)。 下野した自民党では、河野洋平が総裁に就任し、河野執行部が発足。 小沢一郎主導の7党1会派連立政権は、各党の思惑の違いから政策運営に支障を来し、まず細川首相が辞任。次いで羽田連立政権発足直後に、今度は社会党が離脱。自社政策協議の結果、自民党が社会党村山党首を担ぐ形で、村山連立政権が発足。河野洋平は副総理・外相に就任。 経済的には、バブル崩壊に政界混乱が手伝って、日本は、時に経済成長率がマイナスとなる低成長時代に突入。 政策的には、自民党は中道(便宜主義)路線から更に、左翼リベラル路線に踏み込む。1995年8月の村山談話容認がその典型例 (5) 橋本派(経世会)支配の復活(橋本・小渕・森政権)(1996.1~2001.4) 村山社会党政権・河野執行部時代の左傾化の行き過ぎに対する反発から、僅かながら自民党本来の保守的政治姿勢への揺り戻しが見られた時期(1996.7の橋本首相靖国神社参拝、小渕政権での国旗国歌法/周辺事態法制定など) しかし、この時期の自民党最大の実力者は、勢力を取り戻した橋本派(経世会)の野中広務であり、河野洋平・加藤紘一ら自民党内の左翼議員が要職を歴任するなど、自民党の左翼政党化は続いていた。 1998年7月の参議院選挙で自民党は大敗。政策運営が困難化したため翌99年、小渕政権は今に続く公明党との連立に踏み切る。 (6) 小泉改革から野党転落まで(保守再生への期待と不安)(2001.4~) 2001年4月、不人気だった森首相が退陣表明。後継総裁は橋本元首相の復帰が有力視されたが、党員党友による予備選で、「自民党をぶっ壊す」と表明した小泉純一郎元厚生相の人気が沸騰。議員の支持者数で圧倒的優位だったはずの橋本氏を逆転して総裁に就任。1978年(大平政権)から中断を挟んで20年以上も続いた「田中・竹下派(経世会)支配」が、田中角栄との政争に敗れた福田赳夫(首相在任 1976-78)の門下生であった小泉の手で、ようやく覆される。 小泉は、橋本・野中など利権構造に胡坐をかいた経世会を中心とする党内の実力者を「抵抗勢力」と呼び、厳しい対立姿勢を取る。2003年の総裁選でまず野中を議員引退に追い込み、2005年の郵政解散で綿貫(元経世会会長)・亀井静香などを自民党から追放。「新しい自民党」を演出する。 小渕・森政権時代に、ネットインフラの整備が進んでいたこともあり、5年以上の長期に渡った小泉政権下では、これまでのマスコミ報道にそのままリードされた世論とは別物の「ネット世論」の形成が次第に進行。左傾化したマスコミ報道とは離れて、ネット世論の保守化(健全化)傾向が年を追うごとに顕著となっていった。 この傾向は、自民党にも波及。小泉政権自体が発足時のリベラル姿勢(福田官房長官・田中真紀子外相)から、中期には中道化(細田官房長官・町村外相)し、末期には保守化が顕著(安倍官房長官・麻生外相)となった。 小泉首相退陣後に、「戦後レジームからの脱却」を唱える安倍政権が発足。本格保守政権としてネット世論の期待を集めたが、これに危機感を抱いた朝日・毎日・中日など左翼マスコミが、自民党内の左翼リベラル勢力と結託して一斉に安倍首相追い落としに走る。この時、ネットの"自称"保守派の一部も(分断工作に乗せられて)首相の政治姿勢が不十分として安倍首相支援から攻撃に変節。安倍政権は参議院選挙で大敗を喫し、わずか一年で崩壊。 安倍後継として麻生氏が当初有力視されたが、今度は、読売・日経が、リベラル親中派の福田康夫元官房長官の擁立工作を強力に推進。麻生氏は党員党友の多数の支持を集めるも、議員票で及ばず敗退。福田リベラル政権が発足。 しかし福田政権は、懸念された北京オリンピックの一応の成功を見届けたあと、御役御免となり退陣表明。ネット世論の圧倒的支持を受け「新しい自民党」を標榜する麻生政権が発足。 マスコミは、中間やや右寄りの産経を除き、左翼(朝日・毎日・中日・NHK)・リベラル(読売・日経)とも麻生政権の発足直後から、実際には何の根拠もない「解散キャンペーン」を展開。彼らの目論見どおり解散とならないとみると、今度は「麻生首相の揚げ足とり報道・中傷報道」を「解散キャンペーン」に絡めて猛烈に展開。また中山国交相・中川昭財務省の追い落としに成功するなど麻生首相の支持率を大きく引き下げることに成功。 しかし本年3月初めに西松建設裏金事件が発覚して、マスコミの麻生首相追い落とし(=保守派潰し)活動は一頓挫している(ネット世論は当初から継続的に麻生首相を熱烈に支持。ネットVSマスゴミの様相となっている)。 安倍首相が大敗した参院選では、自民党でなお勢力を保っていた青木幹雄率いる参院側の経世会の議員が実は大量に落選しており、経世会は衆参両院で長年保持してきた影響力をほぼ喪失した。(なお同派の現在の総裁候補は石破茂である) 一方、民主党には、かっていずれも自民党田中派・竹下派(経世会)に所属していた小沢一郎・鳩山由紀夫・岡田克也・石井一・渡部恒三らが集結。かっての田中・竹下派の残党が、彼らの裏パートナーであった旧社会党出身者(民主党左派および社民党)と連携して「新しい自民党」に対抗する大勢力を形成する格好となった。 この間、経済状況は、小泉・安倍政権下で緩やかながら長期の安定成長を示したが、麻生政権発足前後に世界的な金融危機が発生し、日本も深刻な不況に突入しており、麻生政権の政策対応が注目されている。 リーマンショック対策として麻生内閣はエコポイント、自動車減税などを含む大型補正予算を組み、日本経済の悪化を最小限度に留めた。経済状況のため衆院解散を先延ばしした麻生総理を日本のために協力すべき民主党・マスコミは総バッシングで応じた。 日本郵政社長人事を巡って鳩山邦夫総務相が更迭されると、地方選挙で連敗中だった自民党内部に麻生おろしが始まった。その目的は総裁選前倒しによる新総裁による総選挙であった。しかし、衆院で内閣不信任案が提出されても反麻生勢力は信任票を投じ、両院議員総会の開催を要求した。これに対し細田博之幹事長は地方選挙敗北総括を目的とした両院議員懇談会を開く旨を発表して麻生おろしを牽制した。両院議員懇談会で麻生首相は自らの失言を謝罪した上で解散選挙への一致団結を訴えた。これによって麻生おろしは事実上終結したが、党内部からの展望なき退陣要求は麻生内閣の足を引っ張り混乱を生んだだけであり、国民だけでなく自民党支持者もが離れる原因となってしまった。 2009年8月30日マスコミが政権交代を煽った衆議院選挙の結果、外国人参政権などを意図的に隠し財源さえ希望的観測のバラ色マニュフェストを謳う民主党に多くの国民が投票、自民党は結党以来の敗北を喫した。これによって麻生内閣は総辞職した。自民党は野党に転落した。 ■4.「古い自民党」と「新しい自民党」 古い自民党 新しい自民党 利権重視、金権体質、土建屋政治売国左翼リベラル傾向 国益重視、クリーン体質愛国保守傾向 媚中・親韓傾向 価値観外交(自由と繁栄の弧) 既存マスコミに妥協的 マスコミと対立的 読売・日経などリベラル派メディアが支持 産経・チャンネル桜など比較的愛国派メディアが支持 経世会(津島派)・二階派に多いが、福田康夫・加藤紘一なども該当詳しくは売国議員リストの自民党欄参照 町村派・麻生派に多い(但し中川秀直・河野太郎など例外あり)詳しくは愛国議員リストの自民党欄参照 ■5.国民が支持すべきは「新しい自民党」 ☆重要リンク☆ 保守へのお願い (sadatajp氏ブログ「基本を押えて」より転載) 保守へのお願い まず最初に麻生総理を支えて欲しくて書いてることを断っておきます。麻生太郎は巷言われてる程に保守ではありません。異常な左派でなく、他国の機嫌取りに励むということがないという程度の保守です。保守というよりむしろ“普通”です。無闇と融和的でなく、取り立てて強硬派でもなく、特別なところがなく、日本の国会議員として普通に日本の為を一番に考える普通の国会議員なのが麻生太郎です。強硬さの面でも普通です。米中朝韓と対峙する程ではないし、創価学会や媚中派や日教組・労組の左翼といった国内の保守の敵との対決姿勢を持ってるわけでもありません。ですので、麻生総理のやることは右を自称する人から見たら物凄く物足りないものになるはずです。以前の安倍総理の時以上に物足りなく思うはずです。それでも世間一般には右派と見られてる麻生総理ですから、朝日新聞を筆頭にしたサヨクマスコミから歴史問題等を吹っかけられることになると思われます。しかし、おそらく強く反論したりもしないでしょう。言い過ぎだったと簡単に謝って引っ込めてしまうかもしれません。それを捉えてサヨクマスコミは全面的な屈服と捉えて喧伝するなんてことも起こるのではないかと思います。安倍総理の時のように。どうかその報道に乗せられないで下さい。異常な程の媚中派や異常な程の従米派やリベラリストやカルトが蔓延る今の日本の政治において麻生総理の普通さは貴重です。期待通りでないからといって批判しまくって潰さないで下さい。期待通りでないところを直させようと、批判しまくって潰さないで下さい。保守は福田には初めから期待してませんでしたから批判もそこそこでした。駄目な奴がやっぱり駄目だったというだけだし、批判しても福田がそれに応えるわけもないし、全面的にまったく駄目なのだから一々細かいとこ非難する気にもならないしで批判するのがあまりにも馬鹿々々しくて批判はそこそこでした。麻生総理となると期待があるだけに、細かい部分にまで激しい非難を浴びせることになると予想されます。安倍総理の時のように。その非難で麻生総理を潰さないで下さい。お願いします。批判は応援にはならず、潰す方向に働きます。批判して良くなるというのは、批判を受けて変わることで良くなるのではありません。批判を受けた悪いものが潰されるから良くなるということなのです。無闇と批判しないで下さい。応援したいのであれば批判でなく提言として行って下さい。そうして麻生総理を潰してしまわないよう気をつけて下さい。お願いします。 「危機をチャンスに変えろ」(前編)~G20サミットの裏舞台 ⇒ニコ動版はこちら ■6.質問&回答 (1)「自民党も民主党も政策はほとんど同じだ。同じなら一度民主党に任せてみるべき」 ⇒回答:自民党と民主党の違いを参照して下さい。計量的に見ると、自民党と民主党はその政治的スタンスは大違いです。 (2)「公明党を切らない限り、麻生自民党は支持できない」 ⇒回答:自民党は政権を預かる責任政党であり、衆議院の優越が憲法で保証されている首相指名・予算策定・条約批准以外は、現状では法案を成立させるために、どうしても他党の協力が必要です。 自民党が公明党との連立を解消するには、自民党単独(または他の保守政党との連立)で、①衆参両院で過半数を占める、②衆議院の2/3の議席を占める、のいずれかを達成するまで待つ必要があります。今の時点でないものねだりをしてはいけません。 (3)「村山談話を破棄しない限り、麻生自民党は支持できない」 ⇒回答:小泉元首相ですら、靖国神社に終戦祈念日(8/15)の参拝を果たすのに5年以上かかりました。その間、中韓やマスコミは一貫して首相参拝に猛反対し続けたために、小泉首相が「8/15の参拝を決行しても大丈夫だ。世論は絶対に私を支持してくれる」と確信するのに5年も要した、特に2005年のような総選挙での圧倒的な勝利が必要だった、と考えるのが妥当です。 麻生首相の場合も、「村山談話の破棄」(本人は「踏襲する」というのを嫌がって思わず「フシュウ」と言ってしまったようです)を決断するには、相当に大きな世論の後押しが必要なはずです。具体的には、次期総選挙での圧倒的な勝利、あるいは、そこまでいかなくとも、次期総選挙で勝利し、総裁に再任され、更に来年の参院選で大勝利を収めて、自民党に衆参両院での過半数を回復させることがおそらく必要で、そこまで持っていければ、「支持者の切なる願いに答えて」村山談話破棄という大きな決断が可能となるでしょう。(きっと…いや絶対に。そこまで応援させといて破棄しなかったら許しません) 別の所で書きましたが「首相がxxしないから支持できない」と言っている人は、本当は「xxできなくてもいい」と考えている人です。本当に「xxしてほしい」と願うのであれば、現実的な道を考えて、こちらの側から動くようにしましょう。 とにかく、麻生首相を後押しする我々「国民の側の大きな支持」が先ず必要です。 (4)「売国的な小泉改革を完全否定しない限り、麻生自民党は支持できない」 ⇒回答:経済政策については、何が売国的で何がそうでないか、一概に判断がつきません。 小泉改革への姿勢を巡って麻生自民党を不支持としてしまえば、日本国民にとって間違いなく売国的であり、かつ、一度成立してしまえばおそらく二度と取り返しの効かなくなってしまう外国人参政権・人権擁護法案・恒久平和局設置による自虐史観強制法など、民主党・社民党などが政権を奪取した場合に実現させるであろう法制度の成立に間接的または直接的に手を貸すことになってしまいます。 その認識はありますか? (5)「私は小泉改革の支持者だ。小泉改革に否定的な麻生政権は支持できない」 ⇒回答:(4)と同様です。 以下、追記 ■7.自民党と保守の現状(西部邁) 産経新聞【正論】(平成22年3月16日) 「自民党はだらしない」という批判がしきりである。しかし、そう難じる者たちも自民党の未来を本気で心配しているわけではない。自由民主主義の何たるべきかについて、真面目に考えることすらしていないのである。批判する資格のない者たちからかくも激しく叱(しか)られるところをみると、「自民党マイナス政権党はゼロ」ということかもしれない。 ≪何を「再生」するのか≫ 自民党の内部から「保守再生」の声が挙がってはいる。だが、「保守」の意味が一向に明らかにされていないのだ。保守とは、自由のための秩序を国家の「歴史的」な規範に求め、平等の限界を国民の「歴史的」な公正感に見いだし、友愛に伴う偽善を国民の「歴史的」な節度によって防止する、という姿勢のことであろう。戦後の65年間、それら「歴史的なるもの」が破壊にまかされてきた。それを放置してきたのは、ほかならぬ自民党の責任である。 いや、昭和期の自民党は歴史の慣性のようなものをひきずっていた。つまり、アメリカ流の自由(個人)民主主義の実行の仕方において、日本流がかろうじて生き長らえていたのである。しかし、平成期の世代交代につれて、その慣性も消え失せた。安倍元首相のように日本の歴史をよびもどそうとする指導者もいたが、小泉改革にみられたように、アプレゲール(大戦後派)による歴史破壊がほぼ完成したのである。「モダン(近代)」の原義は「モデル(模型)のモード(流行)」であるという趣旨で、平成改革という単純な模型が盛大に流行したわけだ。その騒がしい改革運動に自民党も迎合したのである。 ≪社民主義が氾濫する≫ アメリカ流の自民主義は自由の過剰としての無秩序を、格差の過剰としての差別を、競合の過剰としての弱肉強食をもたらした。それをみて日本の民主党は、アメリカの民主党と軌を一にし、社会(介入)民主主義を、つまり社民主義を標榜(ひょうぼう)した。平成改革を強く要求したその舌の根も乾かぬうちに、秩序回復、格差是正、友愛喚起を訴えるという二枚舌で、政権を奪取したのである。 昭和期の自民党も社民的政策を推し進めていたのだが、そこには、無自覚にせよ、国柄保守の態度が何とか維持されていた。派閥や談合といった非公式の場において、少数派の立場にも配慮するという形で、国柄の持つ多面多層の性格を保持せんとしていた。しかし、「改革」がその国柄をついに破砕したのである。その結果、アメリカ主流の自由民主主義とその反主流の社民主義という、ともに歴史感覚の乏しい政治理念のあいだの代理闘争がこの列島で演じられる仕儀となった。 かかる状況に切り込まずに保守再生をいうのはお笑い種でしかない。必要なのは「保守誕生」ではないのか。日本国憲法は社民主義のマニフェストにすぎないこと、自民党の旧綱領は社民主義へのアンチテーゼにとどまっていたこと、平成改革は国柄喪失の自民主義に突っ走っていたこと、そうした事柄を全面的に省察するのが保守誕生ということである。 あと3年半は、政権から遠く離れた自民党にとって、保守の国民運動を繰り広げるのに絶好の機会ではないのか。多くの国民も、内心ひそかに、自分らの国柄が米中両国に挟み撃ちされている危機的様子に気づいて、保守誕生を待望していると思われる。 ≪腐敗していく民衆政治≫ 自民党を怯(おび)えさせ、また民主党を高ぶらせているのは「数の論理」である。「民主主義は多数決だ」(小沢一郎民主党幹事長)という猛々(たけだけ)しい言葉の前で自民党は萎縮(いしゅく)している。しかし、この文句はデモクラシー(民衆政治)の腐敗の明らかな兆候なのだ。 なるほど、民衆政治は「多数参加の下での多数決制」という数の制度である。しかし、これから正が出るか邪が出るかは、「民意」なるものが優等か劣等かによる。たとえば、議会での議論が必要なのは、民意によって選ばれた多数派の政権も、フォリビリティ(可謬性つまり間違いを犯す可能性)を免れえないからだ。またたとえば、ほとんどすべての独裁が民意によって、換言すると民衆政治を民衆自身が否定することによって、生み出されもした。こういうものにすぎぬ民衆政治を民主主義の理念にまで昇格させたのは、自民主義にせよ社民主義にせよ、近代の理念における錯誤だらけの模型であり流行である。 デモクラティズム(民主主義)は民衆という多数者に「主権」ありとする。主権とは「崇高、絶対、無制限の権利」のことである。ただし、民衆が「国民」であるならば、国家の歴史に秘められている英知のことをさして、主権という修辞を与えることも許されよう。しかし、平成列島人のように国家のことを歯牙(しが)にもかけない単なる人民の民意に主権を見いだすのは、民衆政治の堕落にすぎない。これから誕生する保守の最初の仕事は、民主主義を国民政治への最大の敵と見定めることであろう。(評論家・西部邁) 西部邁氏による「保守」の定義 「保守 とは、 ① 自由のための秩序を 国家の「歴史的」な規範に求め ② 平等の限界を 国民の「歴史的」な公正感に見いだし ③ 友愛に伴う偽善を 国民の「歴史的」な節度によって防止する という姿勢のことであろう。」(上記の西部邁氏の論評) ⇒つまり、洋の東西を問わず、保守主義 とは歴史主義 である。 ■8.参考ページ:自民党の歴史 以下のリンク先が比較的分かり易くお勧めです(但し少々リベラル寄り)。 よくわかる政治:自民党の歴史1 よくわかる政治:自民党の歴史2 ■9.自民党は反日マスコミの助けを借りてできた民主党の無能を予見していた スパモニ「民主党の混乱を誰が予想していただろうか!」 ニコ動版はこちら 【関連】スーパーモーニングの正体 ■愛国者の生の声を自民党にどしどし送ってください 自民党なまごえプロジェクト http //www.jimin.jp/namagoe/index.html ■ブログランキング応援クリック | 真実を国民に知らせるために ブログランキング応援クリックをお願いいたします。(一日一回のみ有効) ⇒#ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (人気ブログランキングへ) 【関連】 麻生政権の実績 麻生太郎潰しの正体 民主党の正体 自民党と民主党の違い 自民党と民主党の違い(簡易版)
https://w.atwiki.jp/newani4/pages/288.html
Mission Impossible ◆KYq8z3jrYA 『怪物』は、目的地である映画館へ向かうため、鍛え抜かれた太い足でもって南に歩を進めていた。 バーテンダーとの戦いは敗北を迎え、定時放送による死者の発表は思わぬ衝撃を与え、その悲しみの咆哮は世界の全てを壊してしまうのかと錯覚するほどだったが、それも今や幻だったかのように無表情を貫き前だけを据えている。 なにか大きな変化でも起きたのか。しかし、真実は怪物以外知る由もない。 発した声は、誰にも聞こえず風に流されていった。 怪物の姿は、街角に消えていく。 ◇◆◇ 泣き叫び震えていることだけが恐怖を表すものではない。 紅林遊月はどこかで聞いたその言葉の意味を身をもって刻んでいた。 針目縫。この悪趣味な催しに少なくとも賛同しているのであろう人物。 彼女を止めるために拘束から抜け出した遊月は、使命感や正義感といった小さく燃え上がった炎とは別の、一つのある感情がふつふつと芽生え始めていた。 嵐が去った後にやってくるのは安心感なのではない。コップいっぱいに注がれた水が小さな振動で溢れ落ちるように、止まった時間から動き出した熱は、あの死の感覚よりも更に熱くも身を焦がしているーー タールさながらの暗闇に横たわる自分の姿を想像し、妄想を消し去るように頭を振って散らして、するべきこと考えるべきことを心中で何度も反芻する。 それが嫌なことから逃げているだけなのか一刻も早く彼女を止めたいのかは分からないが、どちらであっても次に進むためのステップとしては正解であると確信する。 遊月は急ぐ。胸に焦りを抱えたまま素足から伝わってくる、冷たいリノリウムの床を踏み抜く。 まず、早急にするべきことは針目縫の動向について知らなくてはならない。 その情報を得るためには彼女がどんな人間であり、どのような目的があるのかを考える必要がある。 言葉の一つ一つに至るまで、会話を記憶を掘り起こす。 縫が聞いてきたのは主催者に繋がる情報について。これは優勝を目指すにしてもそうでないにしても、参加者同士の交流では獲得しておきたいものだ。 そこにおかしなところはない。敵意がなく、襲ってくる気配もない彼女は普通の女の子だった。 話した内容はこれまでの道筋。そこから当然のように自分たちを誘拐した繭へと繋がっていく。 魂などといった理解の及ばない現象。これまでの人間関係。どこで誰とどうやって出会ったのか。 さり気ない風を装いながらも一方的に情報を盗まれた。こちらに与えられた情報は殆どない。 ただ、西からやってきたという本当かどうかも分からないどうでもいいことだけを残して、繭で覆われていた仮面を外して本性を現わした。 (何で、わたしを殺さなかったんだろう) 一度、結論付けたことを、もう一度考える。 保険、だろうか。ルール通り優勝を目指す一方、自ら脱出の方法を探っていく。自分を殺さなかったのは利用価値があるから。 ならば、鏡写しにしたような同じ顔になった意味は? 情報の収集か。いや、そもそも、その行為に意味はあるのか。 まさかゲームに乗っているとは思えないほど、外見は小さく愛くるしいと言える容姿だ。敵意もなく近づかれたら警戒のレベルは下がる。実際に自分は騙され殺されかけた。 そんな彼女が小細工を使う意味はあるのだろうか。情報を得るなら普通に聞けばいいし、殺すのなら堂々と不意を打ってすればいい。 力のない少女だなんて、あの人形のような目を見た瞬間に頭から吹き飛んでいる。 機械のように、道端に落ちてあるゴミを踏みつけるように、簡単に生命を奪ってしまう凶器を向けていた時も変わらず、嘘くさいぐらいのニコニコとしたその表情のまま刃を振り下ろすことが可能だと理解をしたから。 息を吸うように彼女は人を殺すのだろう。殺せるのだろう。 そんな、彼女がなぜ自分を生かしたのか。 そして、姿形を真似てどうするのか。友人たちに何か繋がるものでもあって、近づくことが目的なのか。 それとも借り物の姿で暴虐を尽くし、本当の自分を見せず汚さないで勝ち抜くつもりか。 もしくは苦戦をするような一筋縄ではいかない存在がいて、その打倒のためだけに奪ったのか。 または殺人を犯すたびに顔を変えていき、安心安全に殺し合いを制すつもりであるのか。 あるいは、これは飛躍した説ではあるが彼女は意図的に用意された舞台装置。参加者を悪意のある方向に導く役割を持っており、それが意味することはこの場で結成した集団の崩壊。 少しでも触れれば脆く崩れ去ってしまいそうな特殊な状況下で疑心暗鬼が発生したのなら、あとは坂道を転がっていくように事態は悪い方へ収束していく。 シャロとの小さなすれ違いでさえ亀裂を生んだ。いや、初めから、あの白い部屋からすでに自分たちの日常はひび割れている。 縫に挑む勇気はあるというのにこのまま外へ出るには躊躇がある。 ロビーから続く通路を右に曲がり、劇場に『忘れ物』がないか早足に調べていく。 では、縫が主催者から差し向けられた者であると仮定するとして。 それにしては彼女の行動は、繭と繋がっていると考えるならば不自然と言えるだろう。 あちら側の人間であるならば、此方の情報など紙屑にも劣るものであるはずなのに求めてきた。 そして、あの時、笑顔の仮面の中から一瞬だけ覗いた、彼女の顔。 (違うにせよそうでないにしろ、そういう存在はいるのかも) 争いの停滞時に備え、火種をばら撒いている者がこの世界に潜んでいるかもしれない。 どのような死に方であろうとも関わらず、ここで死んでしまえば魂を閉じ込めるというカードに入れられ、一人寂しく冷たい牢獄のような場所で永遠に意識が残る、と繭は言った。 言い聞かせるように、生き残りたければ他者を殺せとも。勝ち残り最後の一人になる以外にここからの脱出は不可能なのだと、力を示して見せながら。 脅しとしては感想を聞くまでもない、目を耳を塞ぎたくなるような血溜まりの中での厳しいルールの数々。 それを見せられてもまだ歯向かう参加者に対する切り札を用意してきてもいい筈だ。 いや、むしろそうしない理由はない。始まりから悪意に満ちたこんな世界なら、なおさら。 一つ二つ三つ四つ、こちら側の通路の劇場に『忘れ物』はないようだ。 優勝したからといって生きて帰れるという保証もないと縫は考えたのだろうか。 細い糸に掴まるような気軽さで、いつ折れても自分には正方向にゲームを終わらせられる力があるという自信が、あの薄気味悪い笑顔に反映でもされているのか。 良く言えば現実的、悪く言っても現実的。いや、ほんとうにそうだろうか。 少なくとも自分が知りうる情報だけでは脱出は夢のまた夢。 友人たちを死なせたくないとみんなで無事に助かりたいと思ってはいても、大人数の人間を攫ってきたという事実は決して無視できるものではない。 海に囲われたどこかも知らない島。いつでも殺せるように設定された禁止エリアの存在。腕につけられた奇怪な腕輪、魂を封印するという白のカード。 そんな監獄のような場所。脱出のための道など残しているような間抜けなことはないだろう。 一度しか会ってなく、一度しか話してもなく、受け取った内容も吹けば飛ぶようなものだけれど、微かな希望に望みを賭けるような人物ではないことは分かる。 だからこそ、意図が分からない。繭に閉じ篭もった仮面の中を、最後まで見ることは未だ出来ていない。 深く考えすぎなのだろうか。答えはもっとシンプルなのだろうか。 いけない、横道に逸れている。元に戻さないと。 (仮に、本当に西から来たのだとしたら南下をしていることになる) 血で手を汚しているような不都合なことは隠すだろうが、何処からやって来たのかという小さな嘘はつくのだろうか。思考を戻すためにふと思ったことは、なるほど辻褄は合う。 自分がラビッハウスから北上してきたことを考慮すると、少なくとも南からのルートを辿ってはいない。 では、彼女はどこを目的地にしているのか。気ままに渡り歩いているというのは考えたくはないが。 腕輪から地図の機能を表示させてざっと目を通す。 どうやらここは海に囲われた三つの島が線路を挟んで出来ているようで、八×八の計六十四のブロックに切り分けられているらしい。 このブロックというのが放送での禁止エリアというものに六時間ごとに変わっていく。 分かりやすさという意味でも地図に複数記されているシンボルマークはいい目印になる。参加者と積極的に出会うのが目的である以上、そういった施設を回っていくことは効率的だ。 現在地、南東の市街地に立つ映画館もそう。おそらく、縫もそう思うことは想像に難くない。 彼女がやって来た経路は北西から南下として、これで随分と行動は絞り込める。 映画館の近くに存在するシンボルマークは四つ。万屋銀ちゃん、ゲームセンター、駅、ラビットハウス。 そして、遊月はラビットハウスにいる三人のことを話してしまった。 (……うん、ラビットハウスへ行こう) 喉に骨が引っかかったような違和感の正体はまだ晴れてはいないけれど、彼女たちの目前の危機と比べるなら粗末なことだ。 店内には挽いたばかりの豆の香りが漂っていて、そこは何処か異国に迷い込んだような雰囲気を醸し出しいるラビットハウスに到着したら、呑気にコーヒーを飲んでいる二人がいて、承太郎さんはそんな二人を眺めながら泡立つビールを煽っている。 そんな、ふわふわとした空気の女の子たちと街の不良みたいな人が並ぶ光景を想像して、思わず口元が笑ってしまう。 開いた扉から中を覗いて見れば、今の自分に必要な物があった。 ◇◆◇ ーー『怪物』が映画館に辿り着いたのは放送から暫く経ってからだった。 正面から侵入し自分の家だと言わんばかりに遠慮一つなしにロビーを物色していく。万屋を荒らした時と同じ要領で、人が隠れられる隙間以外に目をつけるところは特にない。 その際に物を壊すなどということはしていないので、これでは異常に体格の大きいお客様なのだが 、表情なく淡々と動かれるだけでどこか不気味なものを漂わせていた。 カウンターの奥、チケットボックスの近くにある二つのゴミ箱、ストア商品棚の下、コンセッション周り、休憩室の扉をぶち破りはせず、ドアノブに手を掛け中を探る。 数分もすれば呆気なく捜索は終わりを迎えようとする。既に事の終わったトイレを後にして、まだ調べていない劇場へ怪物は足を向けた。 ◇◆◇ 映画館の一階、入り口のプレートには9と表記された劇場、白と黒と移り変わるスクリーンを背後に遊月は重たく息を漏いた。 普段当たり前のように身に付けている服がこんなにも暖かいなんて思いもよらず、安堵するように漏らしてしまった行動である。 下から二番目の列にある席に掛けてあった藍色のロングコートは、冷たくなった体から熱を戻す仕事をしてくれる。下半身も同時に隠してくれるというのもありがたい。 遊月はコートに包まりながら劇場に入室した時から気になっていたものに目を向けると、世話忙しく点滅していたスクリーンが視線に答えるように切り替わり明るくなり始めた。 どうやらタイミングよく上映が始まるところだったよう。映写室から発射されていた光はスクリーンに映像を映していく。 静まり返った劇場内は暗闇に覆われていき、始まりを告げるように流れ始めたのは早めのアップテンポで聞こえてきたピアノの音。 確かこれは、‘子犬のワルツ’だっただろうか。遊月はぼんやりと、もう間もなく変化があるだろうスクリーンを眺める。 頭、足、そして胴体の順で画面の端からゆっくりと現れたのは、もこもことした白色の毛並みが特徴的のアルパカ。 クリッとした丸い目は今時の女子学生には黄色い声を掛けられることだろうと、そう思わせるほどの真っ白で純粋な瞳。 続くように姿を出したのは、目元が焦げ茶色の毛で完全に隠れてしまっているアルパカ。 白いアルパカとは違う方面で喜ばれそうな、笑っているような表情はとてもチャーミング。 くるくるくる、と二頭のアルパカは画面の中で踊るように回り始める。健を叩く指が絡まっていしないかと想像してしまうほど、リズミカルなテンポはそのまま終曲を迎える。 二頭のアルパカは画面外へと帰っていき、スクリーンは再び沈黙を見せた。 可愛いなと、遊月は素直に思ったがこんな場所で休んでいるわけにはいかないと立ち上がる。 あまりに突然なことに言葉を失ったが、見てみればアルパカがただ回っているだけの映像だ。 毒にも薬にもならず、他人の命が掛かっているこの状況で貴重な時間を消費することは出来ない。 劇場に入ったその時図ったようスクリーンに明かりが灯ったのは、何か意図的なものがあってのものなのか興味がないと言えば嘘になるが、一刻も早くラビットハウスへ向かいそこに来店している彼女たちの無事の確認と、危険が迫っているかもしれない警告を出すことが何よりの優先事項。 『21世紀、世界の麻雀競技人口は1億人の大台を突破ーー』 遊月が目を逸らしている間に、いつの間にかスクリーンには映像が流れていた。 高らかに牌を持つ手を掲げて、学生服を着た少女たちが卓を囲んでいる姿。 終始表情を崩さない少女もいれば、対面に華が咲いていると錯覚してしまいそうなほど心の底から楽しそうに打っている少女もいる。 次々に少女たちが画面に大きく映されていくのを尻目に、足の裏と床が接触する音を場内に響かせながら遊月は出口へと目指す。 縫への課題は山ほどある。遊月が短い時間で考えた彼女に対する対策は、接触をせず奉仕対象の方を逃すという何とも情けないものだが、これが精一杯の出来ることだ。 言葉をやり繰りして止まるような相手なら、あのような無様は晒していない。 身包みを剥がされたのは衣服だけではなく、正面から立ち向かうという心までも引き剥がされた。 遊月はリルグが宿るカードを手にしたセレクターと呼ばれる少女たちの一人であるが、肉体や精神が強いというわけではなく、力も知恵もその辺にいるただの女子中学生。 彼女が危険だから殺さないといけないとそんな物騒な思考にはたどり着かず、かと言って話の通じる相手ではないことも身を持って経験済みだ。 選択肢は限られ、至る道筋も限定されているが、だからこそ、この道は正解だと確信出来る。 酷い別れ方をしたシャロの存在も勿論忘れてはいない。しかし、どこにいるのかも分からない人を見つけるというのは中々に骨が折れるものだ。 島であるとはいえ、発達した街や広大な森は存在している。この映画館があるブロックもビル群こそ見えないものの、商業施設や住宅などが点々と並び立っている。 その一つ一つを調べていくのは砂漠で一粒の砂粒を探すに等しい行為。 この世界が閉ざされる方が早いのでは、そう考えているのは仲違いしたシャロに対して一方的に自分が悪いと分かった遊月が悲観的になっているのが原因、だと本人は気がついているのだが、少なくとも彼女には目先の危機は迫っていないとして、ラビットハウスへ向かう選択を取った。 もしかしたらシャロもラビットハウスへ戻って来ているかもしれないというのも、悩む遊月の行動を後押しをする。 はた、と遊月はまだ見えない友人のことを考えて気分が重くなる。 酷いことをしたのはシャロだけに留まらない。るう子にしたのは心を覗いてしまったシャロ以上に無責任で一方的な関係の断絶。 それはいけないことだと理解はしていても、納得が出来ず諦めて心の奥に押し込んでいるしかない感情は、花代に出会い奇跡を知ったその時に抑えきれなくなった。 セレクターバトルに負けた敗者の末路を知ってもなお、胸に燻った炎は消えてはいない。 そう、今もまだ、こんな絶望しかない世界でも、遊月は諦めてなどいない。 花代にセレクターバトルの一端を教えて貰った後も、他のセレクターの願いを奪い取っている。 願いの代償は、その願いの反転。そうと知っていて、分かっていて、戦い続けた。 (……ん?) 音が止んだ。 スクリーンには、もう麻雀を打つ少女たちの姿は映し出されていない。 ブラックアウト、遊月の心を表したように、色は消え音は死んでいる。 場内が暗いままということは、まだ映画は終わっていないのだろう。 そんな、大きな変化に気づかず、遊月はなにを疑問に思ったのか立ち止まりポカンとした顔つき。 (セレクターバトルに勝ち続ければ無限少女になりどんな願いでも叶えられる) それが本当であるかどうかを問うのは意味のないこと。 遊月が望む願いは、例え、世界が滅びようとも叶えられる願いではなく、許されるものではないのだから。 選択肢など初めから与えられていない。だから奇跡に頼った。 (バトルに三回負けたら、願いはマイナスになり、反転して叶えられる) 例えば、友達が欲しいと願い負ければ、友達を作ることは出来なくなる。 かつて遊月の友達だった少女の願いは反転して、現実となり少女は一人きりになった。 セレクターバトルで叶えられた願いを覆すことは、同じセレクターの願いであっても出来ない。 だから、死ぬまでその少女は一人。 (わたしの願いは香月を……) 恋なんて生易しいものではない。遊月は血の繋がった実の弟を狂おしいほどに愛している。 この気持ちを忘れたことなど一日足りともなく、ずっとずっと想い続けてきた。 自分では絶対に叶えられない願いを叶えてくれる奇跡があるならば、遊月はどんな代償を示されても手を伸ばす。 (願いの代償……白のカード……) カチリと、遊月の頭の中で感じていた違和感が溶ける。 (同じなんだ、この殺し合いとセレクターバトルは) 針目縫との短い会話の中で得た情報に有益なものは一つある。 豹変した彼女に圧倒されたのが原因か、今の今まですっかりと頭の中から外れていた。 セレクターバトル。願いを叶えるため、無限少女を目指す少女たちのカードバトルゲーム。 無限少女となった少女は望む願いを叶えて、三回負けた少女の願いは反転されセレクターに関わった記憶も失われる、勝者と敗者がはっきりと分かれるカードゲーム。 細かい違いはあるけれど遊月が置かれた状況はセレクターバトルに近い。 殺し合いに勝ち残れたら願いを叶えて、負けたら命を落としカードに魂を封じられる。 誰かの願いを踏みつけ、勝ち続けられたら願いを叶えられるセレクターと同じ。 (本当に……?) リルグはセレクターには欠かせないパートナー。 彼女たちがいなければセレクターバトルに参加出来ず、願いを叶える挑戦をすることも出来ない。 魂を囚われた少女。それこそがリルグとするならば。 (花代さんたちは、殺し合いに参加していた? そして、負けてしまった?) 遊月は頭を振る。飛躍しすぎた発想を払うためだ。 あと少しでなにか掴めそうな気がする。静まり返った劇場は陽が当たらないからか肌寒い。 自身が感じたなにかを掴むまで、あと数歩。 ーーコツン。 手に掴もうとしたその間際、思考はリノリウムの床を踏みつける足音によって切られた。 一秒でも早くと急いでいた遊月が力押しで開いた、開けっ放しの重厚な扉。今や防音の役割を果たしていない扉の外から、思考を乱した足音が聞こえている。 遊月が初めに思ったことは縫が戻ってきたということ。しかし響く足音は、通快なステップを踏む小柄な彼女の音ではなく、まるで逆、重く一切乱れることのない。 男性だろうか、根拠もない考えは実りを見せず、足音の主に対してどう対応するか決めかねる……のは、一瞬だけ。 (……行こう、衣服を回収しただけで、この場は十分) 遊月の決断は早かった。劇場、入り口近くにまで来ていた体の方向を変える。万が一、足音の主が針目縫のような危険な『怪物』であったのなら、なにも出来ることなどないから。 危機に対して防衛する手段がないため、抗える相手というのは少なく限られている。 女子中学生というステータス。この小さな世界では弱者に位置付けられる遊月が、下手な好奇心を出したならすぐにあの世行きだ。自分の身を弁えている、とも言える。 何より、正体の見えない侵入者より、現在進行中で危険な彼女を相手にするべきだろう。 何かを探すよう静かに足音は続いている。どうやら遊月の読みは‘当たり’なのかもしれない。 ロビーの正面入り口に向かうと侵入者の視界に入ってしまうので無理として、であるならどうやって気づかれずに脱出をできるか。 映画館は二階建ての構造になっている。入り口からロビーへ入ると、右手に受付、左手にストアがあり、もう少し奥に進んだ右手にはポップコーンやチュロスを販売しているコンセッション、更に奥に進むと左手に二階へ続くエレベーター、右手がチケットの受け渡し、劇場の入り口。 劇場は二階のものを全て合わせると14部屋と多いが、1階のものだけだと7部屋になる。 二階に捜索の手を伸ばすか、トイレに行っている隙でも狙わない限り、正面から外へ出ることは出来ない。 劇場へ続く通路はT字に分かれており、番号が振り分けられたそれぞれの場所に繋がっている。 ここで問題になるのが遊月がいる劇場の扉が開いてしまっている。元に戻そうにも、閉める時の音が響く。 これが意味することは、見つかるまでのタイムリミットはそれほど長くはないということ。 侵入者がフロアの捜索を終えて次に探しに来るのは当然、劇場になる。 ーー鼓動が少し早まるが、それだけ。奇しくも針目縫との邂逅が糧となったのか、怯えるのではなく状況を打開するために頭を回す。 現在、遊月が置かれた状況は非情に辛い。外へ出るためにはロビー正面の入り口が必要で、そこを通るためには侵入者との接触をせざるを得なくなる。 他の出口を探そうにも劇場の前の通路にはトイレしかないことを確認しており、その通路の入り口であり出口はロビーへ繋がっている。 そんな、表情こそ平静を保っているものの時が経つごとに焦りを顔に出していく遊月の努力も虚しく、足音は明らかに此方に向かって来ている。 微かに震え始めた体はまるで袋小路に追い詰められたウサギのよう。 どうにかして頭を切り替えようとしたのか、足音から少しでも遠ざかろうとしたのか、衣擦れの音を響かせないようにそっと息を潜めて劇場の奥に進む。 鼓動は正反対にボルテージが上がっている。口を開けたら音となって飛び出してくるように思えて、遊月は口元を手で押さえるようにして歩みを続ける……とその先にあっさりと出口は見つかった。 視線の先には、強く光を発している誘導灯ーー非常口。 希望の光。 ◇◆◇ ーースクリーンの画面には煌びやかな衣装を纏ったアイドルが歌い踊っている。 そんな光景を『怪物』ジャック・ハンマーは、深く座席に座り眺めていた。 (……さて) 映画館でジャックが求める参加者は見つけられなかった。人がいた‘形跡’こそあるものの、それが‘いつ’であるのか判断がつかない。 トイレに散乱していたガラクタ然り、目の前で上映している映像然り。一階に一つだけ劇場のドアが開いていたが、これも‘いつ’であるのか彼には分からない。 その劇場には非常口が存在していたが、開いたのは場内を調べ終わった後。 まさか足音だけを聞いて、話もせず逃げる者がいるとはとても思えず、いたとしてもそんな腰抜けは 放っておいても勝手に死んでいくだろうと様々な考えはあったが、単に場内に隠れている方が可能性は高いとそちらを優先しただけである。 ともあれ、獲物を見つけられずその報酬を取れなかったジャックは流れていた映像に足を止め、人一人いない貸切の劇場で、少しだけ疲労した体を休めていた。 ーー否、限界を超えたジャック・ハンマーはこの世界が終わる三日間を休みなく戦い続けることなど、東から西へ太陽が昇るより当たり前のことであり、鶏が卵を産むことより簡単なこと。 では、貴重な時間を使ってまで進撃を止めた訳とはーー (……勇次郎ヨ、なぜ死んだのだ) 目的であり目標であり、ジャックの人生そのものと言っても過言ではない、父、範馬勇次郎。 その『死』をこの身に深く刻みつけるため、ジャックは留まる選択を選んだ。 (地上最強ではなかったのか、貴様の強さはそんなものだったのか) 武に生きる者であるならば範馬勇次郎を知らない者はいない。 この世のどんな生物であろうとも、彼を相手にすれば最弱に成り下がる。 勝てないからではない。圧倒的な戦力差ゆえ、ボロ布のように扱われ自らの強さの核を砕かれてしまうからだ。 アリがティラノサウルスに挑んで負けたとして、アリの強さを証明など出来るであろうか。 踏み潰されて死ぬ、所詮、アリはアリ。根本から勝てる要素などない。 一方的な蹂躙は相手の心を折り、そして二度と立ち上がることのない体になる。 例え 、癌細胞であろうとも勇次郎に打ち勝つとは不可能であり、核爆弾を使おうとも殺すことは出来ない。 そんな、自他共に最強と謳われている彼が、この地で命を落とした。 (負けた……などと言うつもりはないだろうな、勇次郎) 範馬勇次郎が負けたらそれはもう範馬勇次郎ではない。範馬勇次郎をした‘なにか’だ。 地上最強から最強を取ったら、そこらにいる有象無象の生物と何一つ変わらないということ。 そこにジャックが求める範馬勇次郎はいない。最強である彼だからこそ目標とする意味がある。 ティラノサウルスだろうと負ければアリだ。ジャックはアリに微塵も興味はない。 (……戦えば、自ずと分かること) 暗雲に支配されつつあった心を、拳でもって破壊しヤシの実も筋り取る歯で筋み砕く。 ノイズが掛かったまま戦いに赴くなど、これから出会う全ての者に失礼な態度である。 ジャックは全力で彼らを潰し優勝を勝ち取る。勇次郎を倒すという最大の目標は潰えたものの、その心までも、その戦いの道までも失ったわけではない。 それとこれとは、別。勇次郎の問題は参加者である彼らに関係はない。 (…………) 僅か、一分にも満たない思考は、防音加工してある扉を貫くほど強烈な音によって途切れる。 足を上げ落とした、その動作だけで床を踏み鳴らしたジャックは、大きく凹んだ床に目もくれず立ち上がる。 決意も新たに、出撃の時は来た。 (刃牙、お前はどんな選択をする) 『怪物』は一歩を踏み出す。 【G-6/映画館/一日目・午前】 【ジャック・ハンマー@グラップラー刃牙】 [状態]:頭部にダメージ(小)、腹八分目、服が濡れている [服装]:ラフ [装備]:喧嘩部特化型二つ星極制服 [道具]:腕輪と白カード、赤カード(9/10)、青カード(9/10) 黒カード:刻印虫@Fate/Zeroが入った瓶(残4匹) [思考・行動] 基本方針:優勝し、勇次郎を蘇生させて闘う。 1:人が集まりそうな施設に出向き、出会った人間を殺害し、カードを奪う。 2:機会があれば平和島 静雄とも再戦したい [備考] ※参戦時期は北極熊を倒して最大トーナメントに向かった直後。 ※喧嘩部特化型二つ星極制服は制限により燃費が悪化しています。 戦闘になった場合補給無しだと数分が限度だと思われます。 ◇◆◇ 『怪物』が来襲していた事などいざ知れず、非常口を通り映画館から外へ出た遊月は振り返る事もせず去っていく。 『化け物』の危険を知らせるため、ラビットハウスへと走る。 【G-6/市街地/一日目・午前】 【紅林遊月@selector infected WIXOSS】 [状態]:口元に縫い合わされた跡、決意 [服装]:藍色のロングコート@現地調達 [装備]:令呪(残り3画)@Fate/Zero、超硬化生命繊維の付け爪@キルラキル [道具]:腕輪と白カード [思考・行動] 基本方針:叶えたい願いはあるけれど、殺し合いはしたくない 1:シャロを探し、謝る。 今は、ラビットハウスに戻る。 2:るう子には会いたいけど、友達をやめたこともあるので分からない…。 3:蒼井晶、衛宮切嗣、折原臨也を警戒。 [備考] ※参戦時期は「selector infected WIXOSS」の8話、夢幻少女になる以前です 時系列順で読む Back 高坂穂乃果の罪と罰 Next 哭いた赤鬼 投下順で読む Back 高坂穂乃果の罪と罰 Next 哭いた赤鬼 099 世界一歪んだ親孝行 ジャック・ハンマー 125 スコープ越しの怪物 094 女はそれを我慢できない 紅林遊月 131 お話をするお話
https://w.atwiki.jp/kageki/pages/211.html
ご確認ください!!! 公演費お支払いまだの方 なほ 合宿予約金お支払いまだの方 (1000円) ゆうこ
https://w.atwiki.jp/shinjitsuwiki/pages/96.html
このウィキを、潰そうと政府の工作員が送り込まれているのはご存知だと思います。 以下のような、不適切な荒らし記事が多く作られました。 多くが、反政府の人々や、「ポリコレ(反白人貴族論)」を冷笑する内容であり、 DSアメリカ白人貴族の犬である、自民党とその信者の、 白人の世界支配を応援する、思想が透けて見えます。 これらは、自民党工作員や、その飼い犬であるネトウヨが作成したページであり、 当ウィキの意識ではございません。 https //w.atwiki.jp/shinjitsuwiki/pages/86.html https //w.atwiki.jp/shinjitsuwiki/pages/92.html そして、編集者のIPアドレスを調査した所、事実が明らかになりました。 霞ヶ関からの書き込みであったのです。 自民党は、『内閣情報室』というネット工作部隊で世論操作しており、 ロスチャイルドなどの白人支配を応援する、「アンチポリコレ(白人優勢論)」世論を形成し、 不当な工作でこのウィキの真実を届きにくく、検索順位を低下させています。 その内閣情報室の本部が、霞ヶ関に存在します。 映画「新聞記者」でも描かれた真実です。 陰謀論ではなく、真実です。 内閣情報調査室、インターネットでの情報収集を認める https //it.srad.jp/story/20/07/02/1644204/ 自民党工作員自らが、荒らしに来る。 それは、このウィキが奴等にとって都合悪いと言う、証明です。 見ているか自民党工作員!国民はお前を断固否定します!